FSLogix で VHD ファイルがマウントされない事象の原因や対策

Last Update: feedback 共有

本記事はマイクロソフト社員によって公開されております。
こんにちは、Windows Commercial Support User Experience チームの廣瀬です。

AVD では、ユーザープロファイルの管理ツールとして FSLogix が主に利用されますが、
日々サポートエンジニアとしてお客様の技術支援をする中で、当ツールに関連するお問い合わせが多く寄せられます。
本記事では、「VHD ファイルがマウントされない・ユーザプロファイルを利用できない」という事象を取り上げ、
エンドユーザーまたは管理者のお客様が自主的かつ早急に当事象を解消できることを目的として、
事象の内容・原因・対処策をご案内します。


事象の内容

よくあるお問い合わせタイトル

本事象については、エンドユーザー からは以下のような事象として申告されることがあります。

  • デスクトップが初期化されたように見える。
  • データが消失したように見える。
  • VHD ファイルのマウントに失敗しているように見える。
  • ローカルプロファイルが利用されているように見える。

どのような事象なのか

FSLogix では、ユーザープロファイルを VHD ファイルの形式で管理しています。
この VHD ファイルを、ユーザーがマウント(接続)することで、利用可能な状態にします。
そして、ユーザがログオフする際には、アンマウント(接続の解除)をします。
正常時と異常時を比較して、本事象の内容について説明いたします。


◎「VHD ファイルがマウントされる」- 正常時のシナリオ

ユーザーがセッションホストにサインインすると、VHD ファイルがマウントされます。
ログインが完了すると、ユーザー独自のデスクトップ画面が表示され、
自身のユーザープロファイルのデータにアクセスすることが可能です。


×「VHD ファイルがマウントされない」- 異常時のシナリオ

ユーザーがセッションホストにサインインする際に、何らかの理由で、VHD ファイルのマウントに失敗します。
その結果、VHD ファイルがマウントされず、自身のユーザープロファイルのデータにアクセスすることが不可能となり、
ローカルプロファイルが作成され、初期化されたデスクトップが表示されるという事象です。

原因と対処法

本事象の発生原因は多岐にわたりますが、本記事では主な原因について紹介いたします。


原因 1 : 別のホストプールで同一ユーザーのアクティブなセッションが存在している

ユーザーが複数のホストプールを利用する場合に、本事象が発生する可能性がございます。
ユーザーがホストプール [A] のセッションホストに接続している状況下で、
同一のユーザーが異なるホストプール [B] のセッションホストに接続しようとすると、
ユーザプロファイルが [A] の既存のセッションで「使用中」であるため、新規セッションで VHD ファイルをマウントすることができなくなります。

対処策

ホストプール [A] にある既存のセッションを終了する必要があります。


原因 2 : サインアウト後も 前回のセッションで VHD ファイルが残存してしまっている

前回のセッションでサインアウトを実行する時に、何らかのサービスまたはアプリケーションが
ユーザーファイルを解放しないことが原因で、VHD ファイルのマウントが解除されず、
ユーザプロファイルが「使用中」のステータスのままとなってしまいます。
その結果、新規セッションで VHD ファイルをマウントすることができない事象が発生いたします。

一時的な対処策

前回接続していたセッションホストを再起動することで、VHD ファイルのマウントを解除することが可能です。

今後の対策

  1. FSlogix のバージョンを最新にする
    最新の FSLogix バージョンのインストーラを以下よりダウンロードし、セッションホストにインストールしてください。
    なお、最新の FSLogix バージョンが上書きしてインストールされるため、過去の FSLogix バージョンはアンインストールする必要はございません。

    ▶ 最新の FSLogix バージョン : https://aka.ms/fslogix-latest

  2. CleanupInvalidSessions レジストリを有効にする
    当レジストリをセッションホストにて有効化することでサインアウト時に VHD ファイルのマウント解除の試行回数を増やします。グループポリシーまたはレジストリエディタにて、当機能を有効にしてください。

  3. 3rd Party 製のサービスまたはアプリケーションの更新・アンインストール
    3rd party 製を含むアプリ、ドライバの更新が起因して、FSLogix の VHD ファイルのマウントに失敗する事象が発生している可能性も考えられます。可能な場合は、該当製品をアンインストール・最新化することで事象の発生に変化が見られるかご確認いただきますようお願い申し上げます。

  4. アンチウイルス・セキュリティソフト等で除外設定を行う
    ウイルス対策ソフトが FSLogix と競合し、VHD ファイルのマウントに失敗する事例が報告されています。
    ウイルス対策ソフト側で、FSLogix に関連する一部のフォルダやファイルをスキャンの範囲から除外し、
    事象が改善されるかご確認いただきますようお願いいたします。
    詳細に関しましては、以下の公開情報をご確認いただきますようお願い申し上げます。
    https://learn.microsoft.com/ja-jp/fslogix/overview-prerequisites#configure-antivirus-file-and-folder-exclusions


上記のケースに当てはまらない・対策後に事象が再現される場合

上記を実施しても事象が再現される場合は、 FSLogix Support Tool でログを採取し、弊社にお問い合わせください。

■ 調査に関するご留意点
 Windows OS や Office 製品等の Azure や AVD 範囲外のお問い合わせにつきましては、有償調査 (Labor 消費) となる場合がございます。
 Premier ご契約のお客様は、貴社担当の CSAM (Customer Success Account Manager) にご確認いただくか、直接エンジニアからのご説明をさせていただくことも可能でございますので、判断に迷う場合には Azure インシデントもしくは M365 にてお問い合わせをお願いいたします。
詳細につきましては、AVD のお問い合わせガイダンスをご確認いただきますようお願い申し上げます。