※本記事はマイクロソフト社員によって公開されております。
概要
本稿では Windows 10、11 及び Windows Server 2019、2022 において様々なコンテンツのダウンロードに利用される配信の最適化 - Delivery Optimization (以降 DO) について多く寄せられているご質問とその回答内容を記載しております。
詳細
Q1:
配信の最適化は既定で利用されますか？
A1:
はい、DO は既定で動作するダウンロードを行うサービスです。
以下の OS バージョン以上で、動作します。
クライアント OS : Windows 10 Vesion 1511
サーバー OS : Windows Server 2019
また DO によるダウンロードをサポートする製品については、以下の公開情報をご参照ください。
配信の最適化でサポートされるダウンロード コンテンツの種類
https://learn.microsoft.com/ja-jp/windows/deployment/do/waas-delivery-optimization
DO はダウンロード機能に加え、帯域制御機能や他の端末とコンテンツ キャッシュを共有する機能（以後 P2P キャッシュ機能と記載）を有しています。
P2P キャッシュ機能をサポートしている製品についても、上記の公開情報をご参照ください。
表内のピア ツー ピアにチェックが入っている製品は P2P キャッシュをサポートしています。
Q2:
配信の最適化と BITS / Branch Cache とは、どのような違いがあるのですか？
A2:
以前の OS バージョンでは帯域制御を行う場合 BITS を利用し、P2P キャッシュ機能を利用する場合 Branch Cache を利用する必要がございましたが、DO は帯域制御と P2P キャッシュ両機能を有しております。また DO はサブネットを超えた広い範囲で P2P キャッシュを利用することができます。
P2P キャッシュの利用には、弊社クラウド サービスの利用が必須となるため、ネットワーク要件をご留意いただく必要がございます。
詳細は Q6 の項目をご参照ください。
Q3:
配信の最適化は P2P 通信を行うと聞いていますが、セキュリティ上、問題はありませんか？
A3:
DO を利用する上でのセキュリティ上のリスクについては、以下の公開情報をご参照ください。
Windows Update の配信の最適化とプライバシー
https://support.microsoft.com/ja-jp/windows/bf86a244-8f26-a3c7-a137-a43bfbe688e8#WindowsVersion=Windows_11
Q4:
配信の最適化でよく利用される設定の組み合わせを教えてください。
A4:
DO の設定に関するお問い合わせ中で、多く利用されている設定項目は以下となります。
設定1.
ダウンロード モード: LAN (1)
https://learn.microsoft.com/ja-jp/windows/deployment/do/waas-delivery-optimization-reference#download-mode
設定2.
ピアの選択を制限する方法を選択する: サブネット マスク
https://learn.microsoft.com/ja-jp/windows/deployment/do/waas-delivery-optimization-reference#select-a-method-to-restrict-peer-selection
設定3.
フォアグラウンドの最大ダウンロード帯域幅 (KB/秒)
バックグラウンドの最大ダウンロード帯域幅 (KB/秒)
https://learn.microsoft.com/ja-jp/windows/deployment/do/waas-delivery-optimization-reference#maximum-background-download-bandwidth-in-kbs
設定4.
HTTP からのフォアグラウンドダウンロードを遅延する (秒)
HTTP からのバックグラウンドダウンロードを遅延する (秒)
https://learn.microsoft.com/ja-jp/windows/deployment/do/waas-delivery-optimization-reference#delay-background-download-from-http-in-secs
上記の設定を行った場合、以下の動作となります。
設定1. 同じ社内ネットワークに存在しているホスト間で P2P キャッシュを利用する。
設定2. P2P キャッシュを利用する範囲をサブネットの範囲に制限する。
設定3. 設定した KB/秒 の範囲でダウンロードを行う。
設定4. HTTP 経由のダウンロードを設定した時間分、遅延させる。(ダウンロード開始時点で、できるだけ P2P キャッシュを利用する)
設定については、以下の情報にて推奨設定を公開しております。
併せて、ご参照ください。
Intuneでの Windows デバイスの配信の最適化設定
https://learn.microsoft.com/ja-jp/mem/intune/configuration/delivery-optimization-settings
Q5:
配信の最適化はプロキシを参照しますか？
A5:
DO はダウンロードを行う場合、原則、ログオン ユーザーのプロキシ設定 (IE/Egde から確認できるプロキシ設定) を参照する動作となっています。
詳細については、以下の公開情報をご確認ください。
配信の最適化でプロキシを使用する
https://learn.microsoft.com/ja-jp/windows/deployment/do/delivery-optimization-proxy
Q6:
配信の最適化を利用する上で、通信を許可すべきエンドポイントを教えてください。
A6:
DO における P2P キャッシュを利用する場合、弊社クラウド サービスの利用が必須となります。(クラウド サービスを利用できない場合、HTTP 経由のダウンロードのみが行われます) クラウド サービスを利用する上で、以下の公開情報に記載されるエンドポイント (URL) に通信ができるよう、ネットワーク構成を検討します。
配信の最適化をサポートするためにファイアウォールを介して許可する必要があるホスト名は何ですか?
https://learn.microsoft.com/ja-jp/windows/deployment/do/waas-delivery-optimization-faq#----------------------------------------------
Q7:
配信の最適化を無効化することはできますか？また BITS / Branch Cache を利用してダウンロードできますか？
A7:
DO はダウンロードを行う基本機能であるため、無効化することはできかねますが、ダウンロード モードを Bypass (100) に設定することで、ダウンロード処理を BITS/Branch Cache に転送することができます。
また Windows 11 では Bypass (100) 設定が廃止されているため、BITS/Branch Cache に転送することはできません。
Q8:
ダウンロードを行った際、エラー 0x80D03002 が発生する場合があります。これは想定された動作ですか？
A8:
エラー 0x80D03002 が発生する要因は、ダウンロード モードを Bypass (100) に設定していることに起因します。
該当エラーは DO の内部動作において、ダウンロード ジョブを BITS/Branch Cache に転送する際のトリガーとなるエラーであり、無害なものとなります。しかしながら Windows API を利用し、直接ダウンロード ジョブを生成するアプリケーションにおいては DO サービスからこのエラーが返答されることで、問題が発生したと判断され、処理が継続できないケースもございます。
ご利用のアプリケーションにおいて、このエラーの影響を受けている場合には、以下の何れの方法でダウンロード モードを変更し、エラーを回避いただけますよう、お願い申し上げます。
ダウンロード モードの変更手順
- ローカル グループ ポリシー エディター (gpedit.msc) を起動します。
- [コンピューターの構成]-[管理用テンプレート]-[Windows コンポーネント]-[配信の最適化] に移動します。
- ダウンロード モード を選択いただき、設定を Bypass (100) から Simple (99) に変更します。
- グループ ポリシーを反映させるため gpupdate /force を実行します。
- グループ ポリシー反映後、事象の再現性を確認します。
ドメイン上のグループ ポリシーで、ダウンロード モードを変更している場合には、ドメイン管理者様にご相談ください。
ダウンロード モード Simple (99) は DO におけるダウンロード機能のみを利用する設定となります。(弊社クラウドサービス及び、P2P キャッシュを利用しない)
Q9:
配信の最適化の P2P キャッシュのヒット率を確認することはできますか？
A9:
DO でダウンロードされたジョブについては、以下の PowerShell コマンドレットにて、P2P キャッシュの利用状況を確認できます。
Get-DeliveryOptimizationStatus
上記、出力結果内の PercentPeerCaching がダウンロード対象に対しての P2P キャッシュの利用率を示します。
また以下の PowerShell コマンドレットにて、同月の P2P キャッシュの利用状況を確認できます。
Get-DeliveryOptimizationPerfSnapThisMonth
上記、出力結果内の DownloadLanBytes が P2P キャッシュを利用してダウンロードされた通信量 (Bytes) となります。
コマンドレットの詳細については、以下の公開情報をご確認ください。
特記事項
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