MaxOfflineTimeInDays (既定値 60 日) を超過したために、SYSVOL の複製が停止してしまった場合の対処策

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こんにちは。Windows Commercial Support Directory Services チームです。

本日は、SYSVOL の複製が止まってしまった場合に、回復する手順をご案内いたします。
SYSVOL の複製は以下の状況下で停止します。

MaxOfflineTimeInDays (既定値 60 日) を超過した場合。

何らかの原因にて、MaxOfflineTimeInDays (既定値 60 日) 以上、複製ができないと SYSVOL の複製が止まります。
この時、DFS Replication のイベント ログに ID: 4012 が記録されます。

上記の状態に陥ったときには、以下の手順にて SYSVOL の初期化を実施します。
初期化といっても、SYSVOL のデータが消えるわけではなく、マスターにする DC を指定し、それ以外の DC は、マスターに指定した DC から、データをコピーします。
※ 他の DC は、マスターのデータと同じになります。


[1] 事前準備 (DFS 管理ツールの導入)

概要・影響 :
対象 DC で DFS 管理ツールをインストールします。
ツールのインストールのみとなりますため、DC で新たなサービスが起動することや動作に影響が発生することはございません。

手順 :

  1. DC に管理者としてログオンします。

  2. [サーバー マネージャー] を起動後、[ダッシュボード] - [役割と機能の追加] をクリックします。

  3. [開始する前に] 画面が起動するので、[次へ] ボタンをクリックします。

  4. [インストールの種類] 画面が起動するので、[役割ベースまたは機能ベースのインストール] オプション ボタンが選択されていることを確認後、[次へ] ボタンをクリックします。

  5. [サーバーの選択] 画面が起動するので、操作している対象の DC が選択されていることを確認後、[次へ] ボタンをクリックします。

  6. [サーバーの役割] 画面が起動するので、何も選択せずに [次へ] ボタンをクリックします。

  7. [機能] 画面が起動するので、以下を展開し、”DFS 管理ツール” チェック ボックスを “オン” にし、[次へ] ボタンをクリックします。

[リモート サーバー管理ツール]
-[役割管理ツール]
-[ファイル サービス ツール]
-[DFS 管理ツール]

  1. [確認] 画面が起動するので、[インストール] ボタンをクリックします。
    ※ インストール後の再起動は不要です。

[2] データベースの初期化

  1. 作業対象の DC でコマンド プロンプトを管理者権限で開き、
    以下のコマンドを実行し、DFSR サービスを停止します。

    net stop dfsr

    下記の手順 2) から 手順 7) までの作業をそれぞれの DC にて行います。
    以下に順番に記載します。

  2. 以下のコマンドを実行し、カレント ディレクトリを “C:\System Volume Information\DFSR” に移動します。

    cd “C:\System Volume Information\DFSR”

  3. 以下のコマンドを実行し、”database_” から始まるデータベースのファイル名を確認します。

    dir

  4. 以下のコマンドを実行し、手順4) で確認したデータベースの名前変更を実施します。

    ren database_xxxx_xxxx_xxxx_xxxx database_xxxx_xxxx_xxxx_xxxx_old

    ** “database_xxxxxxxx” はシステムによって異なりますので、dir コマンドなどにより、お客様の環境のフォルダ名をご確認ください。

  5. 以下のコマンドを実行し、”database_” から始まるデータベースのファイル名が変更されていることを確認します。

    dir

  6. DFSR サービスを再開します。

    net start dfsr

  7. 以下のコマンドを実行し、データベース ファイルが新たに作成されていることを確認します。

    dir


[3] 複製の初期化

  1. 複製元 の DC でコマンド プロンプトを管理者権限で開き、
    以下のコマンドを実行し、DFSR サービスを停止します。2 台とも同時に止めておきます。

    net stop dfsr

  2. マスター(複製元) の 複製元 で [スタート] - [管理ツール] - [ADSI エディター] を起動します。

  3. [ADSI エディター] 画面の左ペインから [ADSI エディター] を右クリックし、[接続] を選択します。

  4. 既定の設定のまま [OK] を押します。

  5. [ADSI エディター] 配下に [既定の名前付けコンテキスト (サーバー名)] が表示されます。

  6. 左ペインの [既定の名前付けコンテキスト] を展開し、以下のパスに移動します。

    [DC=<ドメイン名>] - [OU=Domain Controllers] - [CN=複製元] - [CN=DFSR-LocalSettings] - [CN=Domain System Volume]

  7. 右ペインに表示された [CN=SYSVOL Subscription] を右クリックし、[プロパティ] を選択します。

  8. [属性エディター] タブから以下の属性を確認し、以下の設定値を入力して [OK] をクリックします。

    属性: msDFSR-Enabled
    設定値: FALSE

    属性: msDFSR-options
    設定値: 1

  9. 続けて、左ペインで、以下のパスに移動します。

    [DC=<ドメイン名>] - [OU=Domain Controllers] - [CN=複製先] - [CN=DFSR-LocalSettings] - [CN=Domain System Volume]

  10. 右ペインに表示された [CN=SYSVOL Subscription] を右クリックし、[プロパティ] を選択します。

  11. [属性エディター] タブから以下の属性を確認し、以下の設定値を入力して [OK] をクリックします。

    属性: msDFSR-Enabled
    設定値: FALSE

  12. ADSI エディターを操作した 複製元 上で、コマンド プロンプトより下記のコマンドを実行して、設定した内容を他の DC へ複製させます。

    repadmin /syncall /APe

  13. マスターの 複製元 で DFSR サービスを再開します。

    net start dfsr

    ** DFS Replication ログにイベント ID: 4114 が記録されることを確認します。

  14. 続いて、ADSI エディターから、マスターの 複製元 に関する msDFSR-Enabled の値を変更します。

    [DC=<ドメイン名>] - [OU=Domain Controllers] - [CN=複製元] - [CN=DFSR-LocalSettings] - [CN=Domain System Volume] 配下の CN=SYSVOL Subscription

    属性: msDFSR-Enabled
    設定値: TRUE 
  15. コマンド プロンプトより下記のコマンドを実行して、設定した内容を他の DC へ複製させます。

    repadmin /syncall /APe

16)マスターの 複製元 でコマンド プロンプトより下記のコマンドを実行して、同期を開始します。

dfsrdiag pollad

** DFS Replicationログにイベント ID: 4602 が記録されることを確認します。 
  1. 複製先 で DFSR サービスを再開します。

    net start dfsr

    ** DFS Replicationログにイベント ID: 4114 が記録されることを確認します。

  2. 続いて、複製元 上でADSI エディターから、マスター以外の 複製先 に関する msDFSR-Enabled の値を変更します。

    [DC=<ドメイン名>] - [OU=Domain Controllers] - [CN= 複製先] - [CN=DFSR-LocalSettings] - [CN=Domain System Volume] 配下の CN=SYSVOL Subscription

    属性: msDFSR-Enabled
    設定値: TRUE 
  3. 複製元 上で、コマンド プロンプトより下記のコマンドを実行して、設定した内容を他の DC へ複製させます。

    repadmin /syncall /APe

20)複製先 上で、コマンド プロンプトを開き、以下のコマンドを実行します。

dfsrdiag pollad

** DFS Replication ログにイベント ID: 4614 および 4604 が記録されることを確認します。 
  1. 複製先 上で、net share コマンドを実行し、SYSVOL、および NETLOGON が共有されていることを確認します。

[4] SYSVOL 複製の確認

SYSVOL の複製状態に問題がないかを以下の手順にて確認します。

  1. 複製元 上で以下のフォルダーにアクセスします。

    C:\Windows\SYSVOL\domain\Policies

  2. テスト用のテキストファイルをフォルダー配下に保存します。

  3. 複製先 上で以下のフォルダーにアクセスします。

    C:\Windows\SYSVOL\domain\Policies

  4. 複製元 にて作成したテキスト ファイルがコピーされていることを確認したら、ファイルを削除します。

  5. 複製元 上でも当該ファイルが削除されているかを確認します。