Disk 153 イベントについて

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本記事は、マイクロソフト社員によって公開されております。

こんにちは、Windows サポートチームの三浦です。
本日は、Disk 153 警告イベントの概要と本イベントが記録された際の対応方法を紹介させていただきます。

イベントの概要

Disk 153 警告イベントは、Miniport Driver から上位の OS ドライバーへエラーが返され、I/O のリトライが発生したことを検知した際に記録されるイベントとなります。
一般的には、ディスクの高負荷や、ハードウェア (ホストとディスク デバイス間を含む) / Miniport Driver で何らかの問題が発生し、I/O のリトライが生じた場合に本イベントが出力されます。

Miniport Driver は、OS 上のストレージ スタックの最下層に位置するドライバーであり、一般的に、ハードウェア固有の制御を行うためにハードウェア ベンダーによって作成されるドライバーです。

  一般的な I/O 処理の流れ

 File System (NTFS)
   ↓
 Volume Manaer
   ↓
 Disk Driver
   ↓
 StorPort Driver
   ↓
 Miniport Driver
   ↓
 Hardware

※ 仮想マシン環境の場合は、ハイパーバイザーの処理を介してハードウェアに処理が渡るため、上記とは処理スタックが一部異なる場合がございます。

  イベントの記録例

ログの名前: System
ソース: Disk
日付: xxxx/xx/xx xx:xx:xx
イベント ID: 153
タスクのカテゴリ: なし
レベル: 警告
キーワード: クラシック
ユーザー: N/A
コンピューター: xxxxx
説明:
ディスク 1 (PDO 名: \Device\00000030) の論理ブロック アドレス 0x82368d90 で IO 操作が再試行されました。


イベントによる影響

I/O のリトライを実施しても処理が回復できない場合、上位ドライバーやアプリケーションがエラー イベントを記録するなど、実際の運用に影響が発生する可能性が考えられますが、イベントが一時的なタイミングでのみ記録されており、かつ、実際の運用においても実害が生じていない状況であれば、リトライ処理により該当の I/O エラーはカバーされたと想定できます。
そのため、本イベントが継続的に記録されるような状況ではなく、かつ、アプリケーション等の動作に問題が無い場合については、基本的に実害は無いと判断が可能です。

原因調査について

上述のとおり、本イベントは、Miniport Driver よりも下位のレイヤーで問題が生じたことに起因して記録されるイベントとなりますので、原因調査が必要な場合は、まずは、ストレージのハードウェア ベンダーに調査を依頼いただくことをご検討ください。(仮想環境の場合は、ハイパーバイザー観点での調査も併せてご検討ください。)

また、OS 観点では、記録されたイベント内のバイナリ データの特定のバイト オフセットを確認することで、SRB ステータス (I/O の処理結果を示すステータス情報) やリトライされた SCSI コマンドなどを特定することが可能です。
具体的には、バイナリ データのバイト オフセット 29 は SCSI ステータス、30 はリトライ処理の原因となった SRB ステータス、31 はリトライされた SCSI コマンドを表します。

例えば、下記例の場合は、各オフセットの値はそれぞれ下記を示します。

SCSI ステータス = 00 (SCSISTAT_GOOD)
SRB ステータス = 09 (SRB_STATUS_TIMEOUT)
SCSI コマンド = 28 (SCSIOP_READ)

この場合、I/O のリクエストに対して、タイムアウト期間内に応答が無かったためにエラーが発生している状況と想定できます。


いかがでしたでしょうか。本投稿が少しでも皆様のお役に立てば幸いです。 本情報の内容(添付文書、リンク先などを含む)は、作成日時でのものであり、予告なく変更される場合があります。