本記事はマイクロソフト社員によって公開されております。
こんにちは。Windows Commercial Support Directory Services チームです。
本記事で IP アドレスとホスト名を引き継ぐ形でドメイン コントローラー(DC)を移行する際の、一般的な作業の流れについてご紹介します。
なお、後述の <補足 1> で記載しておりますが、DC 昇格後にホスト名と IP アドレスを変更する場合、作業が煩雑であり障害を引き起こす可能性が高いため、今回ご案内するホスト名および IP アドレスを引き継ぐ形でリプレースされる実績が多くございます。
既存 DC の一部のみが移行対象となる場合
FSMO の役割を保持する DC が移行対象となる場合は、事前に FSMO の役割を別の DC に転送する必要があります。
作業完了後、必要に応じて FSMO の役割を正しい DC に転送ください。
<一般的な作業の流れ>
- 事前準備として、DC 全台の正常性確認を実施します。
(DC の正常性を確認する手順は下記の <補足 2> をご確認ください) - 対象 DC を通常降格し、ドメインから離脱させます。
- 必要に応じて降格した DC の Metadata Cleanup 手順を実施し、降格した DC の情報を AD データベースから削除します。
(Metadata Cleanup は下記の <補足 2> をご確認ください) - 新サーバーをドメインに参加させて、降格した DC と同じ IP アドレス・ホスト名を新サーバーに設定して再起動します。
- 稼働中の DC 全台で、”repadmin /syncall /AeP” を実行し、新たなホスト名及び IP アドレス情報をすべての DC に複製します。
- 新サーバーを DC に昇格させます。
既存 DC 全台が移行対象となる場合
<一般的な作業の流れ>
- 事前準備として、DC 全台の正常性確認を実施します。
(DC の正常性を確認する手順は下記の <補足 2> をご確認ください) - FSMO の役割を持たない DC 1 台を通常降格し、ドメインから離脱させます。
- 必要に応じて降格した DC の Metadata Cleanup 手順を実施し、降格した DC の情報を AD データベースから削除します。
(Metadata Cleanup は下記の <補足 2> をご確認ください) - 新サーバーをドメインに参加させて、降格した DC と同じ IP アドレス・ホスト名を新サーバーに設定して再起動します。
- 稼働中の DC 全台で、”repadmin /syncall /AeP” を実行し、新たなホスト名及び IP アドレス情報をすべての DC に複製します。
- 新サーバーを DC に昇格させます、
- FSMO の役割を新たに昇格した DC に転送します。
- 残りの DC も手順 2~6 の手順で移行します。
- 必要に応じて FSMO の役割を設定されたい DC に転送します。
補足 1:稼働中の DC に対する IP アドレス・ホスト名の変更に関する注意事項
DC が稼働中の状態でホスト名や IP アドレスを直接変更することは、技術的には可能ですが、高いリスクを伴うため推奨されません。これは、DC の設計上、想定されていない操作です。
実際に、稼働中の DC に対してホスト名を変更した結果、旧ホスト名の情報が AD データベースに残留し、複製エラーや Netlogon サービスの起動失敗といった問題が発生した事例が報告されています。
また、IP アドレスの変更においても、旧アドレスを参照しているクライアントからのアクセス失敗などの影響が確認されています。
そのため、DC に昇格する前の段階で、あらかじめホスト名および IP アドレスを設定しておくことを推奨します。
※つまり、DC のホスト名や IP アドレスの変更は、昇格前または降格後の DC として稼働していない状態 で実施することが、最も安全かつ確実です。
補足 2:作業の流れに関する補足情報
Metadata Cleanup の手順、FSMO の役割を持っている DC の確認方法や転送方法、通常降格でエラーが発生する場合は、以下の記事も併せてご参照いただきますようお願いいたします。
ドメイン コントローラーの降格方法
DC の正常性確認は以下の記事をご参照ください。
ドメインコントローラ(DC)の正常性の確認方法について
もし Windows Server 2012/2012 R2 から移行する場合や、移行先と移行元のサーバー OS バージョンの違いが生じる場合、事前準備として以下の記事をご一読いただければ幸いです。
Windows Server 2012 、 2012 R2 からの移行、アップグレードにあたって考慮事項等まとめ
更新履歴
2025/08/28 : 本ブログの公開