VSS Event ID 8229 が記録される事象について

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本記事は、マイクロソフト社員によって公開されております。

みなさん、こんにちは。Windows サポート Storage & High Availability チームです。
今回のテーマは、VSS 処理中に EventID : 8229 のエラーが記録される事象についてご紹介します。

概要

VSS 処理時に、Application のイベントログ に EventID : 8229 (エラーコード : 0x800423f2(VSS_E_WRITERERROR_TIMEOUT)) が記録される場合がございます。

// 以下は Registry Writer でタイムアウトを検知した際のイベント ログの例です。

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"エラー 0x800423f2, Freeze および Thaw イベントの間にライターがタイムアウトしました。  
により、VSS ライターはイベントを拒否しました。
イベントの処理中に VSS ライターがライター コンポーネントに加えた変更は、要求側では利用できません。
VSS ライターをホストしているアプリケーションからの関連イベントについては、イベント ログを参照してください。
操作: 解凍イベント
コンテキスト:
実行コンテキスト: Writer
ライター クラス ID:
ライター名: Registry Writer

対象 OS

全 OS 対象

原因

一時的な I/O 負荷が原因で発生する可能性がございます。
VSS を利用したバックアップにおいては、データの静止点を取得するため、”Freeze and Thaw” と呼ばれる処理を行います。
当該処理では I/O キューイングして、メモリ上のデータをディスクに反映することを行っておりますが、
この処理にはタイムアウトが設けられており、0x800423f2 (VSS_E_WRITERERROR_TIMEOUT) はこのタイムアウトを経過したことで記録されます。

対処法

処理を減らし I/O 負荷を減らすこと、あるいは、VSS の処理を I/O 負荷の低い時間帯に変更いただくなどの対処が必要になります。

I/O 負荷を減らす手段の1つとして、VSS の処理実行前に Sync コマンドを利用する方法がございます。
Sync コマンドは事前にメモリ上のデータをフラッシュする処理を行いますが、Sync を VSS 処理前に実行することにより、
“Freeze and Thaw” におけるディスクへの反映量が減るため、タイムアウトが経過する前に処理が完了できるようになることが期待されます。
もし I/O 負荷の低い時間帯に変更することが難しいような場合には、以下の対処をご検討ください。

  1. 以下のサイトから Sync を入手します。
    以下リンクより、Sync.zip をダウンロードし、対象サーバに展開ください。

// Sync
https://learn.microsoft.com/ja-jp/sysinternals/downloads/sync

  1. 展開した Sync.exe を任意のフォルダーへ配置します。
    ここでは、C:\tmp に配置したと仮定してご案内いたします。

  2. コマンドプロンプトを管理者権限で起動します。

  3. コマンドプロンプトにて以下のコマンドを実行し、使用許諾に同意します。

    C:\tmp\Sync.exe

補足

上記の Sync コマンドを スクリプト化して、バックアップ前にスケジューラ実行することで、EventID : 8229(エラーコード : 0x800423f2) の発生を抑止することが期待できます。

変更履歴

  • 2023/04/10 : 本 Blog の公開