本記事はマイクロソフト社員によって公開されております。
こんにちは、Windows サポート チームの八木です。
最近、Windows 11 へアップグレード後にアプリケーションの自動起動タイミングが遅くなった、というお問合せを頂くことが増えましたので、本記事ではその事象についての説明と回避策をご紹介させて頂きます。
対象 OS
- Windows 11 version 22H2 以降
概要
Windows にサインインすると、予め自動起動が設定された Teams などのアプリケーションがエクスプローラーによって順番に起動されますが、Windows 11 version 22H2 以降では、自動起動が設定されたアプリケーションの起動されるタイミングが遅くなる場合があります。
一例として、Windows 10 のときは数十秒で起動していたアプリケーションが、Windows 11 では 3 分から 5 分ほどかかることが報告されています。
なお、ここで説明する自動起動遅延の事象は、 Run レジストリキーに登録されたものと、スタートアップフォルダーに登録されたものを含みます。
原因
エクスプローラーがアプリケーションの自動起動を行う際に、システムの負荷が高い場合に自動起動のタイミングを遅延させる動作が影響しています。
この遅延させる理由には、サインイン直後に多くのプロセスが集中して起動することによってユーザーの操作性が損なわれることを緩和する目的があります。
Windows 10 の場合も同様の遅延処理はありましたが、Windows 10 の場合は起動するアプリケーション自体の負荷を考慮していたのに対して、Windows 11 からはシステム全体の負荷(CPU 使用率とディスク使用率)を考慮するように仕様が変更されました。
この仕様変更の影響により、特にシステムのコア数が少ない環境やシステム起動時に動作するウィルス対策スキャンが動作する場合など、システム全体の負荷が下がらず、この影響でアプリケーションの自動起動のタイミングが遅れることになります。
対策
サインイン直後にアプリケーションを利用したい場合は、直接そのアプリケーションのアイコンをクリックすることで遅延の影響は受けずに起動することができますので、そのような形の対処をご検討ください。
もし、システムの動作を Windows 10 の動作と同等に戻されたい場合には、以下のレジストリをセットして頂くことで実現が可能です。
但し、弊社として直接レジストリを編集することは推奨しておらず、今後の製品リリースでレジストリが変更される可能性もありますので、予めご理解頂きお客様ご自身で十分に検証の上でご利用をお願いいたします。
HKEY_CURRENT_USER\Software\Microsoft\Windows\CurrentVersion\Explorer\Serialize
・WaitForIdleState (DWORD値:0)
コマンドプロンプトやバッチファイルで実行する場合は、以下のコマンドをご利用頂けます。
REG ADD HKCU\Software\Microsoft\Windows\CurrentVersion\Explorer\Serialize /v WaitForIdleState /t REG_DWORD /d 0 /f
なお、この設定を行うためのグループポリシーはございませんので、必要に応じて上記レジストリをスクリプトで配布頂くなどをご検討下さい。
変更履歴
- 2025/11/14 : 本 Blog の公開