Microsoft Entra 参加済みデバイスの Windows タイム サービスによる時刻同期について

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本記事はマイクロソフト社員によって公開されております。

こんにちは。Windows Commercial Support Directory Services チームです。

今回は、Windows タイム サービスのスタートアップの種類の解説と併せて、
Microsoft Entra 参加済みデバイスの Windows タイム サービスによる時刻同期についてご紹介いたします。

Windows タイム サービスのスタートアップの種類について

Windows OS では、サービスを開始する方式として、サービスのスタートアップの種類が設定できますが、
Windows タイム サービスは、WORKGROUP のデバイスの場合、スタートアップの種類が既定で “手動” となっており、
Active Directory ドメインに参加しているデバイスの場合、スタートアップの種類が既定で “自動” となります。

スタートアップの種類が “手動” の場合は、タスク スケジューラで登録されている SynchronizeTime などのタスクによって時刻同期が行われます。
スタートアップの種類が “自動” となっている場合は、OS 起動後に自動的にサービスが開始されますので、
レジストリなどで設定した時刻同期間隔に従って時刻同期が行われる動作となります。

Microsoft Entra 参加済みデバイスでの時刻同期について

Microsoft Entra 参加済みデバイスは、Active Directory ドメインに参加しておりませんので、Windows タイム サービスの設定については WORKGROUP の端末と同様の設定となります。
つまり、既定では Windows タイム サービスのスタートアップの種類は “手動” となります。
サービスのスタートアップの種類が手動の場合、OS 起動時に自動的にサービスが起動しませんので、
ご利用の環境で、Windows タイム サービスで設定された時刻同期間隔で時刻同期を行いたいというご要件がある場合、
OS 起動後にサービスが自動的に起動しないことから、そのご要件を満たせない可能性がございます。

このような場合には、Microsoft Entra 参加済みのデバイスにおいて、
Windows タイム サービスのスタートアップの種類を自動に変更する必要が出てまいりますので、その方法を以下にご案内いたします。

Windows タイム サービスのスタートアップの種類を自動に変更する方法について

手順としては、以下のように GUI からの操作でスタートアップの種類を変更する方法と、
PowerShell からコマンドを実行することで、スタートアップの種類を変更する方法がございます。

なお、管理対象の Microsoft Entra 参加済みデバイスが大量に存在しており、1 台ずつ設定を変更するのではなく、Intune から一括で変更を実施したいという場合には、
後述の Windows タイム サービスのスタートアップの種類を “自動” に変更する PowerShell スクリプトを Intune から配布する方法 をご検討ください。

1. GUI の操作で Windows タイム サービスのスタートアップの種類を “自動” に変更する方法

  1. ファイル名を指定して実行(Windows ロゴ キー + R)から services.msc を実行し、サービス の設定画面を表示させます。

  2. サービスの一覧から、”Windows Time” という名前のサービスを右クリックし、[プロパティ] をクリックしてサービスのプロパティを開きます。

  3. 画面中央に “スタートアップの種類(E):” が表示されますのでプルダウン メニューから [自動] もしくは [自動 (遅延開始)] を選択し、[OK] を押してプロパティを閉じます。

  4. 続いて、ファイル名を指定して実行(Windows ロゴ キー + R)から taskschd.msc を実行し、タスク スケジューラの設定画面を表示させます。

  5. 以下のタスクを右クリックし、[無効] に設定します。

  • [タスク スケジューラ ライブラリ] > [Microsoft] > [Windows] > [Time Synchronization] > [SynchronizeTime]

※ 以下の公開情報の注意事項のとおり、サービスの起動タイミングに従って、サービスが起動するよりも前に OS 既定で存在している時刻同期のタスク (SynchronizeTime) が開始されることで、意図せず Windows タイム サービスが停止することがございますので、予めタスクを無効化しています。

ワークグループ コンピューターで Windows タイム サービスが自動的に開始されない

設定は以上です。OS 再起動後に自動的にサービスが起動することをご確認ください。

2. PowerShell からコマンドの操作で Windows タイム サービスのスタートアップの種類を “自動” に変更する方法

  1. PowerShell を管理者権限で開きます。

  2. 以下のコマンドを実行し、Windows タイム サービスが OS 起動後に自動的に開始されるように変更します。

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Set-Service -Name "W32Time" -StartupType Automatic
  1. 続いて、以下のコマンドを実行し、OS に既定で存在している Windows タイム サービスに関するタスクを [無効] に変更します。
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Disable-ScheduledTask -TaskPath "\Microsoft\Windows\Time Synchronization\" -TaskName SynchronizeTime

設定は以上です。OS 再起動後に自動的にサービスが起動することをご確認ください。

(補足) Windows タイム サービスのスタートアップの種類を “自動” に変更する PowerShell スクリプトを Intune から配布する方法

  1. Intune 管理者側の端末にて、以下のコマンドが記載された ps1 ファイルを保存します。
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Set-Service -Name "W32Time" -StartupType Automatic
Start-Service -Name "W32Time"
Disable-ScheduledTask -TaskPath "\Microsoft\Windows\Time Synchronization\" -TaskName SynchronizeTime
  1. Intune 管理センターにアクセスして管理者でサインインし、以下の公開情報を参考に、作成した ps1 ファイルを配布します。

Intune で Windows 10/11 デバイスに対して PowerShell スクリプトを使用する

※ スクリプトはシステム権限で実行するように設定してください。

手順は以上となります。

更新履歴

2025/4/25 : 本ブログの公開