クラウド サービスで提供される仮想マシンを再構築する指針について

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「再構築」が問題回避に有効な選択肢の 1 つ

~ オンプレミスと同じ感覚でクラウド運用していませんか?~


はじめに

クラウドの誕生以前、オンプレミスで環境管理、運用されているシナリオが多くございました。昨今、コスト面、運用面等の様々な理由からクラウド上のサービスに移行するお客様が増えております。今までオンプレミス製品の管理されていた IT 担当者様の中には「オンプレミス環境と同じ感覚」でクラウド上で発生する問題に対応されている方がいると存じます。

従来の管理手法や感覚が適切な場合もございますが、クラウドならではの特徴の理解し、時には “再構築”が望ましい結果に繋がる可能性がございます。ここで指す “再構築” とは、問題が起きた既存環境を削除し、予め用意しておいた既存構成に近い環境を再度展開、構築する事を意味します。

この記事では、「クラウド環境において再構築は、有用で現実的な選択肢となる場合がある」 についてご紹介致します。


クラウドとオンプレミスの考え方の違い

オンプレミス製品に対する管理感覚として、ご利用製品上で発生した問題、該当製品を長く使い続ける事を前提とする一方で、クラウド製品は、必要に応じて環境を柔軟に展開、削除等が可能である為、問題発生した環境への回避方法の 1 つとして、再構築が有用となる可能性がございます。

現在展開しているクラウド環境上で問題がいつ起きても対応が出来るよう、ご利用の構成と同等の環境を新しい環境として展開が出来るようにご準備をいただく事が将来的に起こりえる潜在的な問題発生、並びに副次的な影響へのリスク管理に繋がります。以下では、オンプレミスとクラウドにおける一般的な感覚差についてご紹介をさせていただきます。

オンプレミス製品利用に際する考え方について

オンプレミスでは、1 台 1 台の環境に対し以下のような特徴、考え方があります。

  • クライアント/サーバーを、買い替え、買い直すのではなく、長期利用を考慮した選定

  • 問題発生時は、原因を徹底調査し、問題発生製品の再継続利用を前提とした対応

    オンプレミスは、購入実施の敷居がクラウドよりも高い等の理由から長期利用を前提とし、
    環境 1 台 1台を手塩にかけて懇切丁寧に管理する事が一般的な感覚の 1 つでございました。

クラウド製品利用に際する考え方について

クラウド製品は、ご利用シナリオに応じ、柔軟性を持ってご利用構成の変更をいただく事が出来ます。
オンプレミス製品の長期利用を前提として利用と異なり、ご状況に応じて既存構成への構成変更、再構築を行う事で、エンドユーザー様の多様にお応える事が出来ます。

  • 問題発生時は、状況に応じた調査対応に加え、早期問題回避、事業継続を最優先とした、既存環境と同じ構成での再構築実施

    オンプレミス製品は、問題が起きた物理製品への買い替えに伴う様々なコストが高い一方で、クラウド製品の多くは、既存環境を削除し
    同等構成のバックアップ用いた再構築を行う事で、早期事象回避に繋げる事が出来ます。

なぜクラウドでは「再構築」が有効なのか?

オンプレ製品での管理感覚のような「問題が起きた製品の解消と長期利用」の発想でクラウド製品への対応を行い続ける事は、クラウドでは次のようなデメリットが生じがちです。

  • 原因調査・復旧に時間を要す場合がある
  • サービス停止時間の長期化に繋がる
  • クラウドの利点(柔軟性)を活かせない

早期構成変更や、既存環境構成と同等な環境のタイムリーなデプロイが可能なクラウドの特徴を活用する事で、オンプレミス製品と比較し、早期事象回避とサービス再開に繋がる場合がございます。よってオンプレミスでの感覚と異なる以下についてご念頭の上、クラウド製品のご利用をいただく事で、問題発生へのタイムリーな対応実施に繋がります。

すでに展開済みの環境と同じ構成を、すぐに新規デプロイできるよう準備
問題発生時「再構築」は常に有用な選択肢の 1 つと理解した、方針決定や対応実施

クラウドのスケーラビリティ、柔軟性といった特徴を活用することで、短時間で安定稼働を取り戻すに繋がる場合がございます。


事前準備が重要

ご利用になられる製品にもよりますが、弊社より提供しております Azure VM, Azure Virtual Desktop, Windows 365, DevBox 等
お使いの製品それぞれで提供される機能等をご確認いただき、トラブルがいつ発生してもご利用環境構成と同等、近い環境に
早期デプロイが出来るようにご準備をいただく事をお勧め致します。

まとめ

オンプレミス製品上での管理手法の多くをクラウド上の製品に適用する事も可能ですが、クラウドの特徴を考慮した管理感覚を持つ事は管理最適化に繋がる場合がございます。
問題発生時は迅速に同じ構成で再構築し、問題を回避することが、クラウドならではの最適な対応方法の 1 つになる場合がございます。

もし「クラウド環境でどう準備すればいいかわからない…」という方は、ご利用とされる製品提供元へお問い合わせ実施いただければ幸いです。

Appendix

ご利用になられる環境によって事前準備として必要な内容は異なりますが、参考情報の 1 つとして以下の公開情報をご活用いただければ幸いです。

公開情報: Azure でゴールデン イメージを作成する

https://learn.microsoft.com/ja-jp/azure/virtual-desktop/set-up-golden-image

公開情報: デバイス イメージの概要

https://learn.microsoft.com/ja-jp/windows-365/enterprise/device-images

公開情報: クラウド PC の再プロビジョニング

https://learn.microsoft.com/ja-jp/windows-365/enterprise/reprovision-cloud-pc

また、ご利用環境に加え、ユーザー プロファイルの観点においてもリスク管理をお勧め致します。

様々なユーザー プロファイル ソリューションがございますが、弊社で提供しております FSLogix にて プロファイル を管理いただく事で

ローカル上ではなく、冗長構成のあるファイル サーバー、クラウド上のストレージ上の保存にて リスク管理 に繋がる場合がございますので必要に応じてご参考いただければ幸いです。

公開情報: FSLogix とは

https://learn.microsoft.com/ja-jp/fslogix/overview-what-is-fslogix