本記事はマイクロソフト社員によって公開されております。
こんにちは。Windows Commercial Support Storage and High Availability チームです。
Tape Device を利用してバックアップを取得している環境において、USB Memory を挿入・接続した際にバックアップが失敗してしまうという事象についてご紹介・ご案内いたします。
対象 OS バージョン
Windows Server 2012 以降の Windows OS 環境で発生する可能性があります。
発生する事象
Windows Server OS へ接続された Tape Device を格納先として、3rd Party 製のバックアップソフトウェアでバックアップを行っている環境において、USB Memory を挿入・接続した際にバックアップ処理が失敗する場合があります。ユーザー様にて新規で USB Memory を挿入・接続する場合だけでなく、サーバー ハードウェアのシステム ボードに内蔵されている管理コントローラー等が USB Device として認識される場合も、同様な問題が発生する場合があります。
発生条件
- システムに接続されている Tape Device の SCSI Address 情報 (PortNumber/PathID/TargetID/LunID) が全てゼロとして認識されている。
- 上記 1) のシステムへ USB Memory が接続される (接続されている)
1 | ※SCSI Address 情報については、HKLM\HARDWARE\DEVICEMAP\SCSI のレジストリ値から確認ができます。 |
原因
この問題は USB Memory が Windows OS に認識された際に、LUN ID 以外の SCSI Address の情報 <PortNumber(Scsi Port)/PathID (Scsi Bus)/TargetID (Target Id)> がゼロで返されてしまうという USBSTOR.sys の動作に起因して発生する旨が報告されています。(Logical Unit Id は明示的に “0” と返す動作ではありませんが、こちらも結果的に “0” となる事が一般的です)
具体的には上述の “発生条件” に記載したサンプルのように、Tape Device が “Scsi Port 0\Scsi Bus 0\Target Id 0\Logical Unit Id 0” としてシステムに接続・認識されていた状態で、USB Memory がシステムに接続・認識された場合、USB Memory の SCSI Address 情報 (PortNumber/PathID/TargetID) がすべて “0” と認識されて Tape Device と重複してしまい、その結果として “Tape0” であった Tape Device の DeviceName が “PhysicalDrive*” といった形式へ更新 (上書き)され、”Tape0” 形式の DeviceName を前提としているバックアップ ソフトウェアなどで、バックアップ処理が失敗するようになります。
1 | Name : DeviceName |
回避策
この問題は Removable として認識される USB Media (USB Memory 等) がシステムへ挿入・接続された際に発生する可能性があり、USB HDD では発生しません。そのため、一時的に情報取得のためにシステムへ USB Device を接続する必要がある場合には、USB HDD などをご利用いただけますと幸いです。
また、サーバー ハードウェアのシステム ボードに内蔵されている管理コントローラー等が Removable な USB Device として認識されてしまう場合には、誠に恐れ入りますが、Tape Device の認識されるパス (SCSI Address) がすべて “0” とならないような形で Tape Device を搭載 (結線) いただき、本問題を回避いただく事をご検討いただけますと幸いです。