本記事は、マイクロソフト社員によって公開されております。
こんにちは、Windows サポート チームの近藤です。
新しい Microsoft IME について
Windows 10 version 2004 以降 IME のフレームワークである Text Service Framework の仕組みが大きく変更になり、それに関連して Microsoft IME の実装についても大きく変更されております。
通知領域のアイコン [A] または [あ] を右クリックした際のメニューや、設定を開いた際の設定画面、設定可能な内容等についても、大きく変更されております。設定画面についてはこちらの記事もご参照ください。
Windows 10 version 2004 からの新しい Microsoft IME (Input Method Editor) について
また、この変更は数年前から弊社開発部門での検討および開発が進められていたものとなり、2018 年頃からは Insider Preview として機能の一部について公開し、フィードバックをいただきながらリリースに至りました。公開当初の情報となりますが、安定性とセキュリティの向上、ならびにユーザー インターフェースの刷新についての 開発チームのブログ情報 もご参照ください。
Windows 10 version 2004 以降で発生する入力の問題
この大規模な実装変更に伴い Windows 10 version 2004 において、リリース当初、いくつかの問題が発生しておりましたが、現在では重大な問題はほぼ解消しております。解消した問題については こちらのサポート情報 をご覧ください。
一方でフレームワーク部分の変更があったことで、アプリケーションが独自に IME の制御を組み込んでいる製品や、独自のルールで文字入力を行う製品などにおいて、実装に固有の問題が表出する場合があります。例えばこちらの記事『一部のファンクション キーが以前のように機能しません』ではレガシーな IMM32 API を使用しているアプリケーションにおいて従来、使用できていたアプリケーション固有のキー操作が行えなくなる場合があるとの情報をご紹介しております。
ご紹介したような問題はアプリケーションの実装に依存して発生するためアプリケーションの開発元様でのご調査や対応が必要となる場合が多くあります。
以前のバージョンの Microsoft IME を使う オプション
上記のような問題が発生した場合、アプリケーション側での対応を待つまでの間の一時的な回避策として、以前のバージョンの Microsoft IME を使うオプションをご用意しております。このオプションを設定していただくことで、フレームワークおよび Microsoft IME をできる限り従来の (Windows 10 version 1909 以前の) 動作とし、IME をご使用いただくことが可能です。以下では設定方法についてご紹介します。
手動での設定
こちらの情報をご参照ください。
以前のバージョンの IME (入力方式エディター) に戻す
グループ ポリシーでの設定
ドメイン環境では以下のグループ ポリシー設定を行うことで、管理下の端末への設定の展開が可能です。
ユーザーの構成
- (ポリシー)
- 管理用テンプレート
- Windows コンポーネント
- IME
- “日本語 IME のバージョンを構成する” : “有効”
- IME
- Windows コンポーネント
- 管理用テンプレート
- (ポリシー)
補足
- グループ ポリシーでの設定を行うと手動での設定項目はグレーアウトし、手動での設定変更を行うことはできない動作となります。
- 本ポリシー項目は Windows 10 version 2004 以降で設定いただくことが可能な項目となります。それ以前の OS バージョンにおいて設定を行われる場合には、事前に管理用テンプレートの更新が必要となります。 How to create and manage the Central Store for Group Policy Administrative Templates in Windows をご参照ください。
- こちらのポリシー設定は Windows 10 version 2004 以降の OS バージョンにおいて有効なポリシー設定となり、それ以前のバージョンの Windows 10 へ適用された場合も動作に影響を与えることはございません。
以前のバージョンの Microsoft IME ご使用時の注意事項
“以前のバージョンの Microsoft IME を使う” オプションは上述のとおり、新しいバージョンの Microsoft IME をご使用の場合に発生する問題が解消されるまでの間の、一時的な問題の回避のためにご使用いただくことを推奨しております。これは今後の判断として、本設定が廃止となる可能性があるためです。
機能の廃止後、あらためて問題に直面する可能性がありますことから、この設定のご使用時には、以下の対応についてもご検討ください。このような対処を実施いただくことで、アプリケーション開発元様や弊社において問題解決のための対応を進め、今後の問題の解消へつながるものになります。
- 新しい Microsoft IME をご使用時、特定のアプリケーションをご使用時に発生する問題については、アプリケーションの開発元へのフィードバックをご検討ください。
- 新しい Microsoft IME をご使用時、アプリケーションに関らず発生する問題については弊社へのお問い合わせやフィードバック Hub でのフィードバックをご検討ください。
フィードバック Hub でのフィードバックについては Microsoft 日本語 IME の どうすればフィードバックを提供できますか? をご参照ください。ご利用のユーザー様からの直接のご意見や、具体的なご利用シナリオを含む改善のご要望をお待ちしております。
今後も私たち Windows サポート チームでは皆様により安全で快適に Microsoft IME をご使用いただけるよう、開発部門とともに品質の向上に努めて参りますので、どうぞよろしくお願いいたします。