Windows 10 RS5/Windows Server 2019における共有フォルダを使用したリストアの問題について

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※ 本記事は弊社の Technet から移行した記事です。
こんにちは、Windows プラットフォーム サポートの大川です

今回は Windows 10 RS5 と Windows Server 2019 における共有フォルダを使用したリストアの問題についてお伝えしたいと思います。

[問題の内容]

Windows 10 RS5 と Windows Server 2019のインストールメディアから Windows 回復環境を起動し、”イメージでシステムを回復”の操作の中で、”ネットワーク上のシステム イメージを検索する”を使用すると、”システムに接続されたデバイスが機能していません。 (0x8007001F) “ のエラーが発生します。

[原因]

これは弊社の不具合になります。”ネットワーク上のシステム イメージを検索する”にて、共有フォルダへの接続先IP アドレスを入力後、接続先への資格情報 (ユーザー名/パスワード) を入力する画面を表示しようとしますが、この処理に問題があり、上記のエラーが発生します。

[対処方法]

本事象の対処策としては、以下の 2 点があります。

  1. コマンドラインでリストアを行う。
  2. 修正プログラムが適用された Windows 回復環境のメディアをダウンロードし使用する。
  3. 修正プログラムが適用された Windows 回復環境のメディアを作成する。

今回の事象は、資格情報を表示する処理に問題がありますので、コマンドラインで操作を行えば、本事象は発生しません。GUI でのリストア操作が不要である場合には、”1. コマンドラインベースでリストアを行う” の詳細を参照ください。もし、GUI でのリストア操作でないといけない事情などがありましたら、”2. 修正プログラムが適用された Windows 回復環境のメディアをダウンロードし使用する” をご参照ください。

以下に詳細を記載させていただきますので、状況に応じて対処いただければと思います。


  1. コマンドラインでリストアを行う

コマンドラインでのリストアでは、wbadmin コマンドを使用します。

-wbadmin コマンドでのリストア手順-

  1. システム修復ディスクまたは OS インストール メディアから、回復環境を起動します。

  2. [トラブルシューティング] – [コマンド プロンプト] を選択します。

  3. 以下のコマンドを実行し、ネットワークの設定を行います。

    wpeinit
    netsh interface ipv4 set address “イーサネット” static IPアドレス サブネット
    netsh interface ipv4 show address

  4. 以下のコマンドを実行し、共有フォルダへのセッションを作成します。

    net use
    net use \IPアドレス共有フォルダ名
    指定例)
    net use \192.168.0.1share

  5. 以下のコマンドを実行し、リストアするバックアップデータのバージョン情報を確認します。

    wbadmin get versions -backupTarget:\IPアドレス共有フォルダ名 -machine:マシン名
    実行例)
    wbadmin get versions -backupTarget:\192.168.0.1share -machine:TestMachine
    :
    バックアップ時間: 2019/02/15 15:06
    バックアップ場所: ネットワーク共有 ラベル付き \192.168.0.1share
    バージョン識別子: 02/15/2019-06:06
    回復可能: ボリューム, ファイル, アプリケーション, ベア メタル回復, システム状態

  6. 以下のコマンドを実行し、リストアを実行します。

    wbadmin start sysrecovery -version:バージョン識別子 -backuptarget:\IPアドレス共有フォルダ名 -machine: マシン名 -restoreAllVolumes
    実行例)
    wbadmin start sysrecovery -version:02/15/2019-06:06 -backuptarget:\192.168.0.1share -machine:TestMachine -restoreAllVolumes

  7. [y] を入力し、リストアを続行します。

  8. リストアが正常に完了したことを確認したら、exit を入力し、コマンド プロンプトを閉じます。

  9. オプションの選択画面に戻りますので、[続行] をクリックし、OS を起動します。
    データがリストアされていることをご確認ください。



  1. 修正プログラムが適用された Windows 回復環境のメディアをダウンロードし使用する

現在ご提供しております最新の Windows Server 2019は以下よりダウンロードいただけます。

~ ダウンロードする Windows Server 2019 製品を選択してください
URL : https://www.microsoft.com/ja-jp/evalcenter/download-windows-server-2019

ダウンロードしたい言語の項目の iso ダウンロードリンクをクリックいただくことで、Iso ファイルをダウンロードいただけます。

例 ) 日本語 : iso ダウロード のリンクよりダウロードできるバージョン
17763.3650.221105-1748.rs5_release_svc_refresh_SERVER_EVAL_x64FRE_ja-jp.iso

November 8, 2022—KB5019966 (OS Build 17763.3650) が適用されたイメージとなります。


  1. 修正プログラムが適用された Windows 回復環境のメディアを作成する

GUI 操作でのリストアが必要な場合には、OS のインストールメディアとは別に、修正プログラムが適用された Windows 回復環境のメディアを作成する必要があります。
今回の事象は回復環境イメージ内に保存されている資格情報に関連したモジュールの不具合になりますが、上記のプログラムを OS に適用しても、
回復環境イメージ内のモジュールは更新されません。そのため、上記の修正プログラムを直接、回復環境イメージに適用し、メディアを作成する必要があります。
この回復環境イメージの ISO ファイルを作成する手順を以下に記載させていただきますので、実施をご検討いただければと思います。

-回復環境用の ISO ファイル作成手順-

※手順の中で D:\work フォルダを使用しておりますが、任意の場所に変更いただいても問題はございません。

  1. 以下のサイトから KB4476976 の更新プログラムをダウンロードします。
    ※ 以降の更新プログラム (最新の更新プログラム) であれば、修正は適用済みとなりますため、ご利用いただいて問題ございません。
    https://support.microsoft.com/ja-jp/help/4476976/windows-10-update-kb4476976

  2. 以下のサイトから ADK と PE add-on をダウンロードします。
    https://docs.microsoft.com/ja-jp/windows-hardware/get-started/adk-install

  3. adksetup.exe をダブルクリックし、ADK をインストールします。
    インストールする機能は “Deployment Toos” を選択ください。

  4. adkwinpesetup.exe をダブルクリックし、PE add-on をインストールします。

  5. 以下の作業フォルダを作成します。

    md D:\work\iso
    md D:\work\mount1
    md D:\work\mount2

  6. KB4476976 の更新プログラムを d:\work に配置します。

  7. Windows Server 2019 のインストール メディアから以下のファイルを D:\work\iso にコピーします。
    sources\install.wim

  8. [スタート] - [Windows Kits] - [展開およびイメージング ツール環境] を右クリックし、管理者権限で起動します。

  9. 以下のコマンドを実行し、インストールイメージをマウントします。

    dism /Mount-Image /ImageFile:d:\work\iso\install.wim /Index:1 /MountDir:d:\work\mount1
    ※ install.wim の [プロパティ] – [全般] – [読み取り専用] のチェックがついている場合には外しておきます。

  10. 以下のコマンドを実行し、回復環境イメージをマウントします。

    dism /Mount-Image /ImageFile:d:\work\mount1\Windows\System32\Recovery\winre.wim /Index:1 /MountDir:d:\work\mount2

  11. 以下のコマンドを実行し、回復環境イメージに KB4476976 の更新プログラムを適用します。

    dism /add-package /packagepath:d:\work\windows10.0-kb4476976-x64_a9c241844c041cb8dbcf28b5635eecb1a57e028a.msu /image:d:\work\mount2

  12. 以下のコマンドを実行し、回復環境イメージに KB4476976 の更新プログラムが適用されたことを確認します。

    dism /image:d:\work\mount2 /get-packages
    ※インストールが正常に完了している場合は、以下のように表示されます。
    パッケージ ID : Package_for_RollupFix~31bf3856ad364e35~amd64~~17763.292.1.13
    状態 : インストール済み
    リリースの種類 : Update
    インストール時刻 :

  13. 以下のコマンドを実行し、回復環境イメージをクリーンアップします。

    dism /cleanup-image /image:d:\work\mount2 /StartComponentCleanup /ResetBase

  14. 以下のコマンドを実行し、回復環境イメージをアンマウントします。

    dism /unmount-image /mountdir:d:\work\mount2 /Commit

  15. 以下のコマンドを実行し、回復環境イメージをエクスポートします。

    dism /Export-Image /SourceImageFile:d:\work\mount1\Windows\System32\Recovery\winre.wim /SourceIndex:1 /DestinationImageFile:d:\work\winre_updated.wim

  16. 以下のコマンドを実行し、インストールイメージをアンマウントします。

    dism /unmount-image /mountdir:d:\work\mount1 /Commit

  17. 以下のコマンドを実行し、回復環境に必要なファイルをコピーします。

    copype amd64 d:\work\resetmedia_amd64

  18. 以下のコマンドを実行し、エクスポートしたイメージを回復環境のファイルに上書きします。

    xcopy d:\work\winre_updated.wim d:\work\resetmedia_amd64\media\sources\boot.wim /h

  19. 以下のコマンドを実行し、回復環境の ISO ファイルを作成します。

    Makewinpemedia /iso d:\work\resetmedia_amd64 d:\work\RecoveryImage.iso

  20. 以下のコマンドを実行し、作業フォルダを削除します。

    takeown /f “D:\work\*” /r /a
    icacls “D:\work\*” /grant Administrator:F /t
    rd /s /q D:\work\iso
    rd /s /q D:\work\mount1
    rd /s /q D:\work\mount2
    rd /s /q D:\work\resetmedia_amd64

※上記で作成したメディアで操作すると、資格情報が以下のように表示されるようになります。

いかがでしたでしょうか。本ブログが少しでも皆様のお役に立てば幸いです。
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