※ 本記事は弊社の Technet から移行した記事です。
いつも弊社製品をご利用いただきまして誠にありがとうございます。日本マイクロソフトの Windows サポートチームです。
不慮の事態に備え、定期的にバックアップを取ることが一般的となっているほか、変更作業の前に念のためにバックアップを取っておくなど、日々の運用の中でバックアップは地味ながら大きな役割を担っています。
マイクロソフトでは、Windows Server の標準のバックアップソフトとして、Windows Server バックアップの機能をご用意しております。
今回は、この Windows Server バックアップで取得したバックアップ データをリストアする際の、ディスクの選択についてご説明したいと思います。
Windows Server バックアップとリストア
Windows Server バックアップは、その名称の通り、Windows Server に標準で搭載されているバックアップ ツールです。
Windows Server 2008 以降で、サーバー マネージャーから機能を追加いただくことでご利用いただけます。
バックアップの取得対象としては、サーバー全体はもちろんのこと、対象のボリュームだけの取得や、システム状態のみ、あるいはベアメタル回復に対応しています。
バックアップデータの保管先は、ローカル ディスク、外付けハードディスクやネットワーク経由の共有フォルダに対応しています。
リストア時は、リストア先のディスクはユーザー側で選択は出来ず、システム側でリストア可能なディスクを探し出し、リストア先を決定します。
では、バックアップ先の候補として全く同じサイズのディスクが複数存在した場合はどのようなロジックで、どのディスクがリストア先として選出されるのでしょうか。
今回ご説明するケースは、以下の状況で取得したバックアップをリストアすることを想定しています。
状況
- OS : Windows Server 2012 R2
- ファームウェア : UEFI
- バックアップ対象:サーバー全体
ディスク構成:- Disk 0, 600 GB (C ドライブ 220 GB, D ドライブ 380 GB), GPT パーティションスタイル
- Disk 1, 600 GB (E ドライブ 220 GB), GPT パーティションスタイル
- バックアップ データ保管先:外付けハードディスク
- ディスクは 2 本とも破損した想定で、リストア時は同じ容量・同じメーカーのディスクを新品で2 枚用意
- リストア時は Windows Server 2012 R2 のインストール用 DVD から起動し、リストア実行
リストア時の挙動について
では早速、リストア先として、全く同じディスクが複数存在する場合、どのディスクがリストア先として選出されるのかをご説明します。
前提として、リストアの順番としては、最も重要である C ドライブ (システムドライブ) からリストアを行います。
ファームウェアが UEFI システムの場合は、OS を起動するディスクは必ずしも Disk 0 である必要はありませんので、接続されているディスクの中でリストアに最適なディスクを探し出し、そこへリストアします。DVD から起動した OS は、接続しているディスクの中から C ドライブのリストア先として最も適したディスクを以下の基準で検索し、最適なディスクがあるか確認します。
- ディスクの署名が一致するか
- パーティション スタイル (MBR or GPT) が一致しているか
- リストア可能なサイズのディスクか
上記が全て一致するものがあれば、そのディスクをバックアップ取得時と同じディスクと判断し、そのディスクへリストアを行います。最適なディスクの検索は、Disk 0 から順に、基準にマッチしているか確認していきます。
ところが今回のケースでは、新品の全く同じサイズのディスクを 2 枚用意したため、どちらも基準にマッチしません。
この場合、基準にマッチしているか確認を行った最後のディスク (ディスク番号の最も大きいディスク) に C ドライブをリストアします。
その後、空きディスクへ他のドライブをリストアしますので、バックアップ時とリストア後のディスク番号が逆になる現象が発生します。
リストア後の状況
- OS : Windows Server 2012 R2
- ファームウェア : UEFI
ディスク構成:- Disk 0, 600 GB (E ドライブ 220 GB), GPT パーティションスタイル
- Disk 1, 600 GB (C ドライブ 220 GB, D ドライブ 380 GB), GPT パーティションスタイル
これはシステムのデザインであり、不具合ではありません。リストア後のシステムへの影響もありませんので、ご安心ください。
ディスク番号が逆になる現象の回避策について
上記のディスク番号が逆になる現象を回避するためには、バックアップ取得時にディスクの署名を確認しておき、リストア直前にディスクの署名を書き換えることが有効な手段です。
ディスク署名の確認方法と、変更方法についてもここでご紹介いたします。
ディスクの署名の確認方法
コマンド プロンプトを管理者権限で起動します。
diskpart
と入力し、diskpart ユーティリティを起動します。以下のコマンドを入力します。接続されているディスクが列挙されます。
> list disk
出力結果の例:
ディスク 状態 サイズ 空き ダイナ GPT ### ————– ————– ———– ——— ——– ——– ディスク 0 オンライン 557 GB 0 B * ディスク 1 オンライン 557 GB 0 B *
対象のディスクを選択します。例として Disk 0 を選択します。
> select disk 0
出力結果の例:
ディスク 0 が選択されました。
detail disk
コマンドでディスクの詳細情報を参照します。> detail disk
出力結果の例:
LSI MR9362-8i SCSI Disk Device ディスク ID: {92B2DC6F-1C13-4506-AA35-253702E4AC24} 種類 : RAID 状態 : オンライン パス : 1 ターゲット : 0 LUN ID : 0 場所のパス : PCIROOT(0)#PCI(0100)#PCI(0000)#RAID(P01T00L00) 現在の読み取り専用状態: いいえ 読み取り専用 : いいえ ブート ディスク : はい ページ ファイル ディスク : はい 休止状態ファイル ディスク : いいえ クラッシュ ダンプ ディスク : はい クラスター化ディスク : いいえ
“ディスク ID” と表示されているのが、ディスクの署名です。
ディスクの署名の変更方法
事前準備として、以下の手順にてディスクを初期化し、パーティション スタイルを GPT へ変更しておきます。
リストア時に DVD から起動させた OS において、リストアを行う前にコマンド プロンプトを [Shift] + [F10] キーで起動します。
diskpart
と入力し、diskpart ユーティリティを起動します。> diskpart
以下のコマンドを入力します。接続されているディスクが列挙されます。
> list disk
対象のディスクを選択します。例として Disk 0 を選択します。
> select disk 0
clean
コマンドでディスクを初期化します。> clean
パーティション スタイルを GPT に変換します。
> convert gpt
パーティション スタイルを GPT に設定したら、ディスクの署名を書き換えます。
以下のコマンドでディスクの署名を書き換えます。
構文:DISKPART> uniqueid disk id <新しい Disk ID>
例:
DISKPART> uniqueid disk id 92B2DC6F-1C13-4506-AA35-253702E4AC24
最後にディスク署名が入力した値と一致しているか、
detail disk
コマンドで確認します。> detail disk
ディスク署名の変更方法は以上です。以上の手順でディスク署名をバックアップ時のものと同じに設定しておくことで、リストア先のディスクを誘導することが可能です。
本ブログが少しでも皆様のお役に立てますと幸いです。